ここではトライアングル・アービトラージについて説明します。従来のアービトラージと違い、1つの取引所で完結する手法です。

同一取引所内でのアービトラージ

従来の考え方では、アービトラージは取引所間の価格差を利ざやに変えるというものでした。

これを「1つの取引所内で扱っている複数の銘柄を売買することによって利ざやを得ようとする手法」に発展させたのが「トライアングル・アービトラージ(Triangular arbitrage)」です。

英語では Triangular arbitrage などの名称で呼ばれています。複数の仮想通貨を売買し合うことから、3通貨間アービトラージ、3点裁定、または取引所内アービトラージなどと呼ばれることもあります。ここでは、トライアングル・アービトラージと呼ぶことにしましょう。

トライアングル・アービトラージは、ある通貨ペアが、もう1つ別の通貨を介したときに、交換レートに価格差が生じたタイミングに売買を行うことで利ざやを得ようとするものです。

わかりやすいように、ドル・ユーロ・円の3通貨で考えてみましょう。

[例] ドル-円=ドル-ユーロ→ユーロ-円

このように交換したとき、イコールになると考えるのが普通ですが、ここに価格差が生じていたとしたらどうでしょうか? 通貨を交換するだけで利益になりうることがおわかりでしょう。

トライアングル・アービトラージの例

トライアングル・アービトラージの取引は、次のような手順になります。

① 通貨①をいったん売却する

② 売却に使った通貨②と他の通貨③を交換する

③ 交換した通貨③で通貨①を買い戻す

例として、ある取引所におけるビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)の3通貨間でアービトラージを行うとしましょう。

狙うレートは、先ほどの例に当てはめれば「BTC-ETH=BTC-XRP→XRP-ETHではない」という構図です。

[例]0.051BTC=1ETH

0.05BTC=1000XRP → 1000XRP=1ETH

①0.05BTCを1000XRPで売却する

②1000XRPで1ETHを購入する

③1ETHで0.051BTCを購入する

この一連の取引によって、BTC→XRP→ETH→BTCという流れで通貨が交換され、もとのBTCに戻ってきたときには価値が増えているということになります。

この例では、0.001BTC増えています。0.001BTC÷0.05BTC=0.02となりますので2%増です。

取引上の利点と注意点

通常のアービトラージでは、取引所間の資金の移動に手数料が発生しますし、手続きの待ち時間に大きな価格変動が起こる可能性もあります。トライアングル・アービトラージなら、資金を移動させたり、取引所間の価格差の変動を常時ウォッチングしたりしなくても、一度にまとめて手続きすれば短時間に低リスクで利益を得ることが可能です。

ただし、トライアングル・アービトラージでは、取引にかかる手数料が最低3回はかかるということに注意してください。3回分の手数料より利益率が低い取引では損失になってしまいます。

また、現実には先ほどの例のような基軸通貨同士では、1%以上の利ざやを稼げる価格差が生じることは期待しないほうがよいでしょう。何らかの理由で価格が大きく変動している草コインを間に挟むかたちにすることで、有意な利益を出せる可能性が出てきます。情報収集を欠かさず、さらに自動プログラムを利用できれば、より効率的に最適な通貨を見つけ出すことができるでしょう。

トライアングル・アービトラージのポイント

◯手数料の安い取引所を利用する

◯手続きの対応が早い取引所を選ぶ

◯取引上有利な草コインを見つける

◯自動取引プログラムを活用する

トライアングル・アービトラージでは、複数の通貨を保有し続けるリスクをとる必要がありません。いつでも気が向いたときに価格をチェックしてチャレンジできるというのは、投資初心者にとっては最大の魅力といえるかもしれません。