「アービトラージって?」。一般的な意味を解説します。また、最近はビットコインの取引において、アービトラージが注目されつつあります。その理由についても考えてみましょう。

 

「市場の歪み」を利用した取引

アービトラージは「裁定取引(さいていとりひき)」と訳され、意味は「一時的な価格差を利用した”さや取り”」というのが一般的です。

さまざまな要因から市場に歪みが生じることがあります。さや取りとは、そのような状況を利用して低リスクで売買を行い、利益を得ようとする行為をいいます。

方法としては、ある商品に一時的な価格差が生じたとき、割高なほうを売り、割安なほうを買います。この価格差は市場の歪みによるものなので、理論的にはやがて解消される方向に向かいます。

市場の動向を見張り、両者の価格差が縮小した頃合いを見計らって、今度は割高なほうを買い、割安なほうを売ります。それによって、この間に生じた価格差による利益を得ることができます。

これは、株式市場の現物価格と先物価格を利用した取引を中心に、為替、金利、コモディティ(商品)など、あらゆる市場で用いられてきた投資手法です。


ビットコインでアービトラージ

最近では、このアービトラージの手法をビットコインの取引に用いることができると考える人が増えてきました。

ビットコインの取引所は世界中にたくさんあります。売買は取引所ごとに行われていますので、ビットコインの価格は取引所ごとに大なり小なり差が出ます。

日本円をドルやユーロなどの外貨に両替するとき、どこで両替するかによってレートが良かったり悪かったり、けっこう差がありますよね。

ビットコインの取引も、これと似たようなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。

外貨の両替は、空港で両替すると高かったり、銀行はわりと良心的だったり、または、その逆の場合も。売値と買値では同じ通貨でもレートが違います。それから、両替所によって手数料もバラバラです。

同様に、ビットコインの価格も、どこでも一定というわけにはいきません。「誤差がある」という言い方のほうが分かりやすいかもしれませんね。

この取引所間で生じる価格差を利用してアービトラージを行うことで利益を出せる、ということに注目が集まっています。

【例】
A取引所  1BTC = 50万1000円
B取引所  1BTC = 50万4000円

最もシンプルな言い方をすれば、上記の例ではA取引所とB取引所で3000円の価格差が生じているので、双方の取引所で売り買いすることによって、差額分の利益を得ることができます。

 

市場が成熟していないからこそ

実は、アービトラージは理論上は誰でも行える投資法ですが、実際の市場で確実に利益が出せるほどの価格差が生じることは、あまり多くはありません。ごくわずかな価格差に対し、かなり大きな投資額を投じることで相応の利益が得られるというのが通例なので、一般投資家には不向きと言われています。

ビットコインが注目されている理由は、そこにあります。

仮想通貨の市場は変動が激しいということは、多くの人が感じていることだと思います。その理由はさまざまですが、1つには、新しいものであるために関係者のとる行動にバラつきが生じやすいということが考えられます。つまりは、まだ市場が成熟していないのです。

そういった背景から、ビットコインの市場には、比較的大きな誤差、つまり価格差が生じやすくなっています。価格差が大きければ、投資額が大きくない一般投資家にも利益を出せるチャンスが生まれる、というわけです。

なお、より多くの人が、より大きな額でアービトラージを行えば、それだけ価格差は迅速に縮小されていきます。つまり、アービトラージには市場価格を適正に導く働きもあるのです。裏を返せば、アービトラージの取引に関わる人(プレイヤー)が増えてくると、価格差が解消されやすくなるということも覚えておいてください。

また、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)については、ポテンシャルはありますが、いまのところ日本ではまだ扱っている取引所が少ないためアービトラージは行いにくくなっています。