「仮想通貨とブロックチェーンは切り離せないもの」という認識は広まっているものの、ブロックチェーンと仮想通貨の関係を簡潔に説明できる人は、そう多くないようです。ここでは、ブロックチェーンとはどういうものなのかを、ざっくり理解できるように、4つの側面に分けて解説しています。

1.ブロックチェーンとは何か ~成り立ち~

ブロックチェーンの技術は世界的に画期的なものと認められ、その言葉は独り立ちしつつあります。

しかし、「ブロックチェーンとは何か」を説明するための最も基本的な一面は、

「ビットコイン」を形成する中核的な技術

・・・だということでしょう。

世界で最も有名な仮想通貨であろうビットコインは、日本人の名前である「サトシ・ナカモト」という人物が考案者とされています。

ブロックチェーンという技術は、ビットコインの誕生と同時に、このサトシ・ナカモト氏によって生み出されました。

ビットコインが世間に広まるにつれて、その構造の重要な部分であるブロックチェーンという革新的な技術に注目が集まり、いまでは海外送金をはじめ、契約の新しい形式や金融・流通など多くの分野で応用できるものとして期待されています。

もともとの出自であるビットコインをはるかに超える汎用性が期待されるために注目を集めるブロックチェーンですが、もとはビットコインという1つの仮想通貨を形成するための技術として生まれたものなのです。

この点は「ブロックチェーンとは何か」を理解するうえで、欠かせないポイントの1つといえるでしょう。

 

2.ブロックチェーンとは何か ~デジタル台帳~

次に、ブロックチェーンという言葉に注目してみましょう。

なぜなら、考案者サトシ・ナカモトが記したビットコインについての論文は英語で書かれていて、その点が、日本人が「ブロックチェーンとは何か」を理解することを阻んでいる理由の1つとなっているからです。

たとえば国内ユーザー7千万人以上(2017年12月時点)のLINEアプリには「ブロック」という機能があります。これは相手を拒否するという意味で用いられている言葉です。「止める」「妨げる」といった英語blockの動詞としての活用から来ています。

一方、blockの名詞としての活用には「塊(かたまり)」「区画」といった意味があります。それが発展して、IT用語で「ブロック」とは「ある程度まとまった量のデータのかたまり」といった意味で用いられるようになっています。

子どもが使う積み木のような玩具のことをブロックと呼ぶことがありますね。有名なREGOブロックなら、誰しも一度は遊んだことがあるのではないでしょうか。

これは各ブロックの凸凹(おうとつ)をつなげていくことで、より大きなかたまりをつくっていくことができる玩具です。ブロックには、そのようにブロック同士をつなげていくタイプのものがけっこうあります。

ブロックチェーンの「チェーン」は、鎖のようにつながったもののことです。

鎖のようなものでつながったデータのかたまり・・・。まだ、なんだかよく分かりません。

そこで、ブロックチェーンのもつ機能に着目して、最近ではブロックチェーンは「電子的な台帳」のことだと説明する人が出てきました。

そう言われると、なんとなく意味がつかめますね。台帳というのは、主に商いにおいて金銭的なやりとり(トランザクション)を記録する帳簿の大本(つまり信頼性のおけるもの)をいいます。

ブロックチェーンがビットコインにおいて不可欠な技術であるのは、それによって取引が正確に記録され、閲覧したりさかのぼってチェックしたりすることを可能にしているからです。

ただ、その台帳はエクセルでつくった表のようなものではなく、データ化されています。「ブロックチェーン」というのは、そのデータの特徴をイメージして表現した言葉なのです。

 

3.ブロックチェーンとは何か ~書き換え不能~

ブロックチェーンという言葉が象徴するのは、”書き換え不可能”という特徴です。

より正確にいえば、データの書き換えに要する労力からいって不正を行うことは現実的ではなく、また、不正が起こらないように導くことで利益を得られるため、後者に労力を割く人が圧倒的に多い、ということになります。

つまり、これはインセンティブの問題です。

たとえば、あなたが友人と対戦ゲームをしているとします。

対戦なので、相手を打ち負かして勝ちたいというのが通常の考えでしょう。では、もし「自分が勝ったらジュースをおごってやる」と言ったら、友人はどうするでしょうか?

わざと負けるかもしれないという可能性が出てきますよね。または、実力で負けるかもしれませんし、本気を出して勝つということも考えられます。

では、もし「自分が勝ったら千円やる」と言ったら、どうでしょう。まあ、そこまで結果に影響しないかもしれません。大人か子どもかにもよるかもしれませんね。

では「自分が勝ったら百万円やる」と確約したら・・・? ほぼ100%に近い確率で、あなたがゲームに勝つことが予測できるのではないでしょうか。

このように、ある条件を付加することによって一定の結果を導こうとすることをインセンティブといいます。近年、ビジネスでよく利用されている手法のひとつです。

ビットコインに関連して「マイニング」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ビットコインにおいては、このマイニングという仕組みが、台帳の改ざんを限りなく不可能に近づけるためのインセンティブとして働いています。

mineとは鉱物などの資源のことをいい、mining(=マイニング)は「採掘する」という意味です。なぜマイニングという言葉が使われているのかという説明は長くなるので他に譲ることにして、ここでは「何をする」ことなのかだけ理解しましょう。

ビットコインにおいて、マイニングとは「ブロック(データのかたまり)をチェーンのようにつないでいく作業」を意味します。

具体的には非常に高度な計算問題を解いていくような作業であるため、マイニングを行うためには高性能なコンピュータを必要とします。

さらに、「新しいブロックは1つ前のブロックの情報の一部(=ハッシュ値)を含む」という構造になっています。ハッシュ値は関数なので、あるブロックを改ざんしたら、その後のすべてブロックの情報が成り立たなくなり、つじつまを合わせるためには膨大な量の計算をやり直さなければなりません。

このため、マイニングの作業が進めば進むほど、ビットコインのセキュリティはより強固なものになっていきます。

そして、その作業を行う報酬としてビットコインが手に入るという仕組みになっているため、そのインセンティブによって、ビットコインの安全性が保たれているのです。

 

4.ブロックチェーンとは何か ~分散型~

先に、ブロックチェーンというのは「電子的な台帳」のようなものだという話をしました。

紙の台帳をコピーするのは手間のかかる作業ですが、電子化されたものは簡単に複製をつくれます。アナログとデジタルの大きな違いですね。

その特性を利用して、ブロックチェーンのデータは、世界中に分散している数多くのデータベース(=ノード)で同時進行的に管理されています。この特徴は「分散型」という言葉で表現されることが多いようです。

同じデータが世界中にあるため、1つに不具合が生じても大丈夫。バックアップが世界中に存在すると考えればよいでしょう。

とはいえ、オリジナルやコピーという区別はなく、すべてのノードは対等です。誰か(どれか)が全体に指示を出す権限をもっている中央管理型と呼ばれる管理システムに対して、分散型という表現が用いられています。

たとえば、もし誰か1人が帳簿を管理して金庫にしまっていたら、帳簿が不審者の手に渡る可能性は低くなりますが、一方で、その管理者本人は誰にも見られずにこっそりと帳簿を改ざんできてしまいますね。

では、帳簿をコピーして全員に配ったとしたら、どうでしょうか。全員で一斉に同じ箇所を改ざんしない限り、不正は不可能でしょう。

ただ、帳簿の複製がたくさんある状態では、新しい取引が行われたら、同じ内容を全員で一斉に書き加えなければならなくなります。

この問題を解消するために使われている技術がブロックチェーンです。

個々の取引(トランザクション)を逐一データベースに書き込んでいては、誤りが起こりやすく、手間がかかりすぎます。そこで、いくつかの取引をひとまとめにしてブロック化し、ブロックごとにデータベースに記録します。

データベースの更新は「合意形成」というプロセスを経て実施されます。

マイナー(マイニングの参加者)たちの総意により、ブロックごとにデータベースを更新する権限者を決め、その権限者の更新内容を各自のデータベースに一斉に書き込むという方法です。

このプロセスを経ることによって、各ノードに書き込まれる更新内容をすべて同一のものとすることができます。

ビットコインでいえば、簡単にいうと、高度な計算問題を解いて最初に解を見つけたマイナーが権限者となります。早い者勝ちですね。マイナーたちがその解が正しいことを確認して承認します。承認された内容を書き込むことで、各ノードに新たなブロックが追加されることになります。

更新の権限者に選ばれるのは各ブロックにつき1名(1台のコンピュータ)です。その1名のみがマイニングの報酬を受け取ることができます。

このようにブロック単位で内容を承認したうえで更新する方式をとることで、ノードに誤った内容を記録してしまうことを防ぎ、さらに先に述べた「新しいブロックの中に過去のブロックの情報を含める」ことで、改ざんできないしくみを2重に成り立たせているというわけです。

☆    ☆    ☆

どうでしょう? 「仮想通貨」という何やら頼りなさげな名称とは裏腹に、セキュリティの高いシステムによって取引の安全性が確保されているものだということが、少しお分かりいただけたでしょうか。

ここでの内容をまとめると、「みんなで共有しているデジタル台帳」を成り立たせるための技術がブロックチェーンだという風に理解できます。

このように捉えると、仮想通貨の枠を飛び出し、さまざまな分野でブロックチェーン技術の応用が期待されているということもイメージしやすくなったのではないでしょうか。